安芸高田市議会の傍聴(2024年2月26日)

安芸高田市は、人口24.954人(人口の平均年齢53歳)65歳以上の人口率40%。位置は広島県北部、北は島根県に南は広島市に隣接。面積は537平方キロメートル。2004年に高田郡6町の合併により安芸高田市が誕生。戦国大名の毛利元就の本拠地で、郡山城があった。合併20年を記念し市のキャッチフレーズが「百万一心未来へつなぐ安芸高田市」に決定。これは毛利元就の言葉を引用。「一日一力一心」をつなげている。現在は今年8月で任期満了となる石丸伸二市長が市政運営の舵を取る。この3年半石丸市長は、行財政改革や議会の在り方を、歯切れのよい答弁でネット配信により注目されてきた。目標のひとつが安芸高田市を広く知ってもらうこと。この事はYouTubeチャンネル登録者数が自治体として日本一を達成し、この広告収入とライブ配信で昨年12月は185万円の収入。1月は214万円で、5ヶ月間合わせて827万円となった。知名度が上がればふるさと納税も前年比1.2倍と、応援による収入は期待以上に大きかった。                                 石丸市長の発言は、厳しい財政運営を本気で改革する有言実行であり、公約通り未来のための着実な一歩を日々進めている。今まで首長と議員の間には追認機関とみられるような議会審議が見られていたため、石丸市長に代わってから、議会は真剣に学ばなければ太刀打ち出来ないような状況になっている。その歯切れのいい答弁は、議会の使命とは議員の責務とは何かを問いただしていて、SNSで議会運営を見る人たちの間で徐々に注目を浴び出したのである。石丸市長の進取果敢に市の未来を考える姿勢には熱量や強さが感じられ、益々政治に関心のなかった人々にも受け入れられる様になってきた。多くの首長や議員からも反応があり、講演や対談(有名人)での出張(オンラインも含め)にも公務に支障がない限り受けているようで、かなり忙しい方である。                         トライアスロンやマラソンは趣味でもあり、国内開催のイベントに参加している。これも安芸高田市の知名度アップに貢献している。近くは東京マラソン、そして徳島マラソンにもエントリーし、来県予定である。タフでなければ首長は務まらない。

 

     令和5年度の補正予算審議    審議は可決となる 

安芸高田市は合併となり、年間運営予算はおよそ200億円。その後も全体人口が年々減少となる現状は変ることはない。2020年に就任された石丸市長は合併時策定された「公共施設等総合管理計画」がほとんど進展していないため2022年に新たに改訂し、それに沿って市政運営を進めている。この施設廃止スケジュールが動きだすと、個々の事業に対して批判の声が上がることもある。一部議会議員の審議に臨む態度に厳しい評価を下す市長と、対抗意識を露わにする議員たちとの対立構造が出来てしまった。その中で、今回の審議の質問で熊高議員の質問気になった。

産業部(地域営農課)・・・農業用施設の災害復旧工事の減額費用についての質問。3000万円減額の内1200万円は工事が中止になった。その理由は、市側の不手際だと噂が流れ市民は信じているようだ。事実はどうなのか? 答弁=令和3年の豪雨災害で、一部壊れた部分の復旧工事を国の査定を受け認めてもらう。いざ工事を開始し解体するとコンクリートの中身は土砂だった。このまま一部を工事しても強度に問題が残るため、充分に維持するには補助を受ける国県と水利権のある受益者たちとも、改めて強度について協議しなければならなくなった。結果、頭首工の全体を工事することになり、今までの費用よりかなりの予算増額になるが受益者の方にも理解を得る。設計変更で新たに申請しなければならないため、いったん中止としたことは受益者の方には十分了解を頂いている。変更工事は新年度になるため、田植えも近い今、応急処置として仮設の対応(土嚢積み)はしている。 その後、市長から「そのうわさは私も聞いています。ある市議が(現場地域で)言われていると聞きました。今日この場(議場)で市民の代表(市議)に伝えましたので、(正確な)周知の徹底をお願いします。」と答弁あり。

傍聴者意見=補正予算の審議は議員にとってとても重要な仕事です。質問者の顔ぶれは熊高議員,田邊議員,南澤議員が何度も深堀(算定根拠や原因,疑義等)の質問をされていました。金行議員は2回。あと、山本数博議員,宍戸議員は1回ずつ。反市長派と言われる市議の質問はほとんど聞かれませんでした。住民が問題や課題を知るのは、議会での丁寧な議員の質問によります。議員がどんどん質問をしてこそ住民は行政知識が増えます。そして議会終了後、議員の議会報告は必須です。一般的に紙媒体が多いと思いますが、石丸市長のSNS動画配信の大きな影響力を知った議員たちは、SNSを使った議会報告(一部議員)を行っているようです。議案予算審議は議員としての重要な仕事ですが、議会で決まったこと発生した課題を住民に報告することはより重要な使命です。その報告により住民の声が伝わってくるのではないでしょうか。補正予算でありながら、傍聴席が埋まるくらいの傍聴者数には驚きでした。一般質問になると、傍聴室に入れなかった市民は別室のモニター室での視聴になるようです。傍聴室には、予算議案書(閲覧)が報道陣用と一般傍聴者用が4冊ずつ置かれていました。傍聴者にとっては大変うれしいです。