新ごみ処理施設関連予算の徹底審議を求める申入れ書

                              令和7年7月28日

上板町議会議長 坂東泰幸殿  
                   
                新ごみ処理施設計画を憂慮する住民有志の会
                         有志代表:麻順子、中澤和代、深田君代、吉田俊子(阿波市)
                 逢坂浩司、多富佐智子、板東仁男(上板町)                                                                                          小川エミ子、扶川敦(板野町)                                                                              連絡先:090-3784-7254(深田)

   7月22日開かれた上板町議会で、新施設整備負担金の採決が見送られました。トンネルコンポスト方式による新ごみ処理施設計画には、7月2日に慎重審議を申し入れておりましたので、この度拙速な予算の議決を見送った議会の姿勢に敬意を表します。
 私たちもその後、環境省や業者等へ問い合わせを重ねてまいりました。その結果、しっかり検証しなければならない問題があることが、一層具体的にわかってまいりました。以下列挙する問題点について、議会として十二分に時間をかけて徹底した審議をしていただき、その結果必要であれば、計画の見直しも、理事者側に求めていただきますよう、よろしくお願いいたします。

 

 問題点1 施設建設費85億円の積算根拠が全く不透明。

 建設費85億円は、コンサルが出した上限額であり、その積算根拠は入札との兼ね合いがあるので、見せられないと組合から説明を受けました。施設建設に関しては、プロポーザルや一般競争入札にあたり、行政が作成する要求水準書あるいは仕様書を「現在作成中」との発言もありました。ではコンサルはどうやって上限額を計算されたのでしょうか。 
 山口県へのごみ運搬について、業者からトン単価だけが示され、町議会は議決を求められました。その後住民から、単価が高額すぎると批判され、いまだ内訳の示されない車両確保費も含めて住民訴訟が提起されています。この度の施設建設費も、同様にずさんな提案となってはいませんか。ストーカ方式と比べて安価と言えない85億円までにも膨れ上がりました。コンサルが出した上限額の積算根拠を、要求水準書や仕様書に照らして議会が検証できるよう、具体的に示すべきです。   

問題点2 環境省からの建設費交付金(3分の1)は確定せず。

 環境省の交付金の内示はもらっていますが、環境省に直接問い合わせたところ、「交付決定には、実証データが必要」ということでした。実証実験の結果で交付金が確定した後、予算を議決するのが順序ではないでしょうか。総務局長は実証実験のデータがいるとは聞いていなかったと言われました。
 数年前から情報収集されていた彦根愛知犬上広域行政組合(滋賀県)は、建設費の交付金を得るため、この実証実験を民間業者に委託する事業費を予算化しました。しかし4月に改選された新市長が環境省に出向き、実証実験をしても当初見込んだ補助が得られそうにないと、計画中止を表明しました。

 トンネルコンポストによるごみ処理は、全国では民間2箇所。実証実験ができる業者は、近隣では香川県三豊市です。実験の期間は3ヶ月以上かかるようです。
 このまま推進して、交付申請時に条件を満たせなければ、内示があっても取り消しとなり、交付決定されないことになります。

問題点3 新ごみ処理施設稼働後20年間の運営費が未定。割高になる可能性が大

 施設運営費、運搬費、リサイクル処理費がどれほどかかってくるか全く示されていません。リサイクル処理での再商品化メニューが決まっていません。例えば、油化・ガス化・コークス炉原料化等のリサイクル処理方法はどうするのですか。              設計施行方式のため分別機の種類も決まっていません。確か全協では分別機購入の話が出たようですが。処理方法が未定であれば設計もできず、導入機器はどうするのですか。   ●処理施設でできたリサイクル原料の受け入れ先が決まっていません。この処理方式の一番のデメリットは供給先が見つからず、追加コストの発生、埋め立て処分に至る状況になってしまう事と言われています。例え決まっても、そこが受け入れてくれないごみは発生します。また、受け入れ先が県外遠隔地であれば、なお高額の運搬費がかかってきます。

問題点4 好気性発酵乾燥方式がプラスチック等の再生利用として妥当なのか。

 分別しない一般家庭のごみ収集が、経過措置として国に認められています。しかし、異物と一緒に破砕したプラスチックには、汚れも異物も付着しています。それを新プラ法に適合するため、洗浄など余分の手間をかけなければなりません。これがプラスチックの再生利用として評価できるものか、根本的な疑問があります。                                   JFEのケミカルリサイクルでは、コークスを製造するコークス炉の化学材料にする場合が最も安価で、それでもトン単価5~6万円の費用がかかるようです。JFEでは産業廃棄物処理許可がないため、異物の多いフラフは引き取りません。それなら「その他プラ」を最初から分別収集し、焼却灰や汚泥からリンなどの資源を取り出す溶融炉の燃料にすれば良いのです。それが技術的経済的に可能か、現在徳島県の協力で研究が進められています。

問題点5 いまさら中央広域環境施設組合から抜けられないという声あり。しかし、他の自治体との広域処理の可能性や民間委託等、他の処理方法について様々な方向性に目を向ける真剣な検討が重要かつ必要。

  山口県の民間業者への焼却処理は2年8カ月の予定で開始されました。この遅れを取り戻すかのような理由で、組合理事者側は説明を急ぎ、現在議会に異議申し立てがないような取り計らいに心血を注いでいるように見えます。一丁目一番地は計画の全貌をしっかりと議論し、計画が動き出してから、問題点が露わになる様な事態を避けていただくための十分な議論が行われる事です。出来ていないまま進めば、再び遅れの要因となりかねません。  

板野町長は、中央広域からの脱退を表明し、議会の多数議員も同意して他の処理方法を今後検討するとみられます。吉野川市の脱退があり、再び同じことが繰り返されようとしています。その原因や反省はどの様に話し合われましたか。恐らく片眼を閉じて見ないふり、聞かないふりで変わらぬ運営に流されてきたのではないでしょうか。組合の組織運営は健全でしょうか。この状況化になりますと、広域処理が最善なのか、公設民営の合理的な運営は考えられないのか、トンネルコンポスト方式にこだわるべきか、交付金の実態等(阿波市は過疎地指定があり、5万人未満でも交付金は可能。その特別枠のない上板がどの様な立場に立たされるか)、十分に議論し今後の上板町にとって持続可能な選択を探って頂けないでしょうか。議員の皆さまはその責務を担っており、今重要な岐路に立っております。

以上、私たちは住民負担の軽減と真の資源循環型社会実現の観点から、中央広域環境施設組合のごみ処理計画について、貴議会が徹底審議をされます様、よろしくお願い申し上げます。